7. 電力自由化傾向

今後は小売競争の導入を検討

1991年のラオ政権発足後、インドは経済自由化路線に舵を切り、公的セクターが独占していた産業への民間参入や外資規制の緩和などの経済改革が行われた。この経済改革を機に、インドの電力部門でも電力自由化が始まった。

1990年代初めに行われた電力改革では、政府は、経済の急成長に伴う電力不足の問題に対応するため、IPPの導入といった発電部門中心の規制緩和策を積極的に採用した。しかし、許認可手続きの煩雑さや、電力の販売先となる州電力局(SEB)の財務状況の悪さから、民間投資は思うように進まず、電源開発は期待通りに行われなかった。

この反省を踏まえ、1990年代後半から2000年代にかけての一連の電気事業改革では、配電部門の効率化や電気料金体系の整備に主眼が置かれるようになった。2003年には電力改革の基盤となる電気法が改正され、州電力局の分割や電気料金の合理化、水力発電以外の認可制の廃止、送配電系統へのオープンアクセス等が定められた。

さらに2005年には「国家電力政策」、2006年には「電気料金政策」が公表され、この中で制度改革の具体的な方針が示された。

インドでは、このような中央政府が提示した電力改革の枠組みについて、実行に移す権限は、州法を制定する州政府にある。そのため、発送電分離の形態などの供給体制は州によって異なる。積極的に発送電分離・民営化を実施した州もあれば、実質的に一体経営のままとなっている州など様々である。デリーなど農村人口比率が小さい都市部の配電会社では、民営化によって財務状況の改善が見られ、一定の評価を受けている。

2018年4月現在、「2003年電気法」の改正が検討されている。改正法案が成立すれば、配電部門と小売部門が分離され、小売部門で競争(小売自由化)が導入されることになる。

電気料金は安い政策料金

インドでは、農業用料金が政策的に安く抑えられているため、配電会社はコストの8割しか回収できていない。不足分の一部は州政府からの補助金が充てられるが、配電会社の累積赤字が年を追うごとに膨らんでいる。近年は、中央政府による料金政策が徐々に浸透し、各州で電気料金改定に踏み出す動きが見られる。政府は2015年11月、配電会社の債務解消策「UDAY」を発表し、2015年から2年間かけて、配電会社の負債を証券化して売却する措置が講じられた。
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