4. 原子力開発動向
開発推進の方針を維持するも、国内の開発はペースダウン
中国は、フランス、ロシア、米国、日本などの技術を導入しながら国内原子力機器メーカーの技術力を高めていくという政府の方針の下、原子力発電開発を積極的に進めてきた。2017年末時点で、38基(3,580.7万kW)が運転中であるが、総発電設備容量に占める比率は3.87%とまだ小さい。運開済みの原子炉の炉型はCANDU炉2基を除き、すべて加圧水型軽水炉(PWR)である。中国は大気汚染問題や地球環境問題への対応などから、石炭火力の代替電源として今後も原子力開発を推進する方針を打ち出している。政府は2016年11月、「電力発展十三・五計画 (2015~2020年)」を発表し、沿海部での原子力発電プラントの新・増設を継続するとともに、中国自主技術による第三世代炉へシフトしていく方針が示されている。2020年には運転中5,800万kW、建設中3,000万kWまで開発するという目標を掲げた。
新規開発する原子力発電所は、第三世代炉など高い安全性を有する原子炉を建設していく方針である。2014年には、海外の技術を取り入れた、「華龍1号」を呼ばれる国産原子炉の基本設計を完了させ、福建省の福清原子力発電所の5・6号と、広西壮族自治区の防城港原子力発電所の3・4号で建設されることになった。一方、内陸部にある大河川や湖沼近傍に立地する原子力発電所の開発計画は福島事故を受けて、2017年末時点まで建設許認可審査が停止したままである。