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[米国] 米エネ省、低コストで一層安全な先進的原子力発電所の設計開発を促進

2017年11月9日

米エネルギー省(DOE)は10月20日、既存炉よりも一層低コストで安全な先進的原子炉設計を可能にする革新的技術の特定・開発プロジェクトに、省内のエネルギー高等研究計画局(ARPA-E)から最大2,000万ドルの予算を確保したと発表した。
ARPA-Eの新しいプロジェクトとして、「モデリング改良型技術革新による原子力技術の先駆的再活性化(MEITNER)」を起ち上げるというもので、機器のモジュール化といった製造技術開発により建設コストを削減するとともに、高度な自動制御性や受動的安全性を発電所全体に組み込んで運転コストも抑えることが目的。
この分野においては省内の原子力局(ONE)で培われた知識と資源の活用が有効であることから、将来を見据えた同プロジェクトを成功に導くために、ONEとARPA-EのMEITNERプロジェクト・チームが緊密に連携することが重要との見方を示した。
ARPA-Eは2009年にDOE内に新設された部局で、開発リスクが高すぎてDOEの他のプログラム部局や産業界では対応困難な革新的エネルギー技術開発を専門に支援。
基礎研究ではなく応用研究を対象としており、「エネルギー貯蔵」や「バイオ・エネルギー」など、リスクは高くても大きな成果が期待できるものに対し最大2,000万ドル、最長3年間の資金助成を行っている。
米国では現在、従来型の軽水炉が総電力需要量の約2割を賄っており、CO₂を排出せずに信頼性の高いベースロード電力を供給している。
しかし、経年化した既存炉では運転維持費が比較的高額なため、電気事業者がこれらを閉鎖していく一方、新規原子炉の建設は巨額の建設コストを理由に進んでいない。
DOEは2050年までに2,080万kWの原子力発電設備が失われると予測した上で、今後も数十年にわたって原子力を使っていくには、新しい製造プロセスや技術、設計等の活用を通じて競争力の強化を図らねばならない状況にあると説明。
必要となる「次世代型原子力発電所」の特徴としては、異常発生時にも運転員なしで原子炉の安全性と確実な運転継続の確保、建設資本費の大幅削減、建設リードタイムの劇的短縮、といった概念を同時に実現できる点を挙げた。
これらの目標を達成するには新しい革新的な「実現可能にする技術」が必要とDOEは認識しており、MEITNERプロジェクトでは初期段階にあるそうした技術の開発を進める際、原子炉システムの構成要素とそれらの技術をどのように組み合わせるかについて、見直しを促進する。
建設段階においては、工場内で大部分の組立作業が行える先進的なモジュール機器の製造テクニックにより、コストを削減出来る可能性があると指摘。
運転経費の削減に寄与する技術としては、ロボット工学や高性能センサー技術、モデリングに基づく故障検出技術、実質的な自動制御化を可能にする確実なネットワーク技術などが、高度な受動的安全技術とともに含まれるとした。
具体的な進め方としては、プロジェクト・チームがモデリングやシミュレーションの最新ツールを活用するほか、原子力や非原子力に限らず課題毎に各分野の専門家と協力する。
さらに、課題毎のサブ・チームも、モデリングとシミュレーション、技術経済分析などについて編成。
各分野における最新情報や先進的技術情報の取得などに役立てるとしている。

 

【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会

 

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