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[英国] 政府、深地層処分場建設計画で2件の公開協議開始化

2018年2月6日

英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は1月25日、使用済燃料などの高レベル放射性廃棄物(HLW)を安全かつ責任ある方式で永久処分することを目的に、深地層処分施設(GDF)の建設計画に関する文書2件について、約12週間の公開協議を開始すると発表した。
処分計画における政府のアプローチ等について、国民やステークホルダーから広く意見を募集し、15年~20年かけてGDFの建設サイトを特定するとしている。
文書の1つ目は、GDFの受け入れに関心を持つ地域コミュニティと開発事業者が、どのように関わっていくべきかなど、建設サイトの選定プロセスについて提案する政策文書。
公開協議の対象はイングランド地方と北アイルランド地方となっており、ウェールズ地方では独自の公開協議が英国政府と並行して行われる。
英国では2008年と2009年にカンブリア州のコープランドとアラデールの2自治体がGDFの受け入れに関心を表明したが、州政府の反対により選定プロセスは2013年に白紙に戻った。
今回の提案は、翌2014年に当時のエネルギー気候変動省が、深地層処分の実施について策定した「白書」の原則に基づいて設定された。
英国における「白書」は、これから政策化・法制化したいと考えられている政府の方向性を示すもので、「2014年白書」では、英国政府と北アイルランド地方政府が、GDF受け入れに関心をもつ自治体と協力してとりまとめた「受け入れ意志を持つ自治体との協働ベース・アプローチ」が盛り込まれていた。
今回の提案のなかでBEISは具体的に、サイト選定プロセスに参加する各自治体に対し、政府が初期段階で年間最大で100万ポンド(約1億5,510万円)、ボーリング調査段階では250万ポンド(約3億8,776万円)をそれぞれに投資するとしたほか、同プロセス全体を通じて自治体にはいつでも撤退する権利があると明記。
また、開発事業者がサイトを最終決定する際には、許認可申請等の手続を開始する前に、住民投票その他の方法で地元住民の意思を最終確認しなければならない、などとしている。
もう一方の文書は、GDFに深地層調査用ボーリング孔を加えた「深地層処分インフラ設備」に関する「国家政策声明書(NPS)」の案文で、公開協議はイングランド地方のみを対象に行われる。
NPS制度は、英国内で重要な基盤施設を建設する際に必要な政策上、および規制上の枠組として2008年に制定されており、対象インフラ設備の建設について公正かつ迅速な判断を下すことが目的。
公開協議が完了した後、同案は議会審議に掛けられることになっている。
今回のNPS案の中でBEISは、処分対象の廃棄物として、原子炉からの使用済燃料や再処理後のHLW、医療や軍事関係その他の原子力施設から出る中レベル廃棄物などがあると説明。
地層処分における多重バリアの概念として、廃棄物のパッケージング材料や緩衝材について解説したほか、処分場の構造が縦坑でつながれた地上施設と地下施設で構成されることなどを詳細に示している。
BEISによると、英国で発生する放射性廃棄物の大部分は低レベル廃棄物であり、これらは日々、安全に処分されている。
一方、過去60年間におよぶ原子力発電や、新たに建設する原子力発電所から出る廃棄物、および研究や医療、軍事の関係活動にともなうHLWについては、専用の処分施設が必要だとした。
深地層にHLWを処分することは、国際的に最も安全かつ確実な処分方法と認識されており、すでに複数の国でこの方式の処分場建設計画が進められている。
このため英国政府としては、多量の放射性物質が地表に漏れ出ることが絶対にないよう、多重バリアで防護された高度に工学的な施設を地下200m~1,000mの位置に建設する方針である。
BEISはまた、GDFを建設することは現在進展中の新規原子力発電所建設計画を支援する一助となるのみならず、新たに2,000名分の高給雇用を創出することになり、同施設の操業期間中に少なくとも80億ポンド(約1兆2,410億円)の経済効果がもたらされるとした。
BEISのR.ハーリントン・エネルギー産業担当相も、「政府の産業戦略において、原子力部門は生産性の向上とクリーン技術に基づく経済成長の促進で重要な役割を担っている」と指摘。
将来的にも低炭素な電力供給が可能な原子力発電は、英国のエネルギー・ミックスにおける重要部分であるとの認識を強調した。
同相はまた、「将来世代の国民のためにも、廃棄物の永久処分に適したサイトの特定で今、行動を起こす義務がある」と言明。
それには、受け入れ自治体の発言権を確保し、住民に支援意欲があるサイトで合意を得る必要があるとしている。 

【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会】 

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