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[米国・カナダ] マイクロ炉eVinciの開発で2社が協力

2024年2月7日

米ウェスチングハウス(WE)社は1月23日、可搬型の原子力発電システムの開発を行うカナダのプロディジー・クリーン・エナジー社と協力し、2030年までにカナダで最初の洋上可搬型の原子力発電所の設置を目指すことを明らかにした。
WE社製のマイクロ原子炉「eVinci」を搭載する。


WE社とプロディジー社は、2019年からWE社製のマイクロ原子炉「eVinci」の展開について共同で検討。
カナダで戦略的に価値の高い鉱物資源を扱う多国籍企業が2019~2020年に、信頼性の高いクリーンエネルギー源を特定するための研究に資金を提供したことから、この研究に従事したプロディジー社が、広範囲に展開することを目的に標準化された可搬型原子力発電所の開発の先駆者となった。


マイクロ原子炉「eVinci」は、分散型の電力市場、遠隔地のコミュニティや鉱業、国防などの重要インフラや島嶼国などで電気や熱を供給することが可能。
熱出力は1.4万kW、定格電気出力0.5万kWのヒートパイプ冷却炉で、軽水炉のような冷却ポンプは不要、燃料交換は約8年おき。
最小限のメンテナンスで競争力と復元力のあるエネルギー供給が可能であり、信頼性に優れた設計であるという。
単一または複数の「eVinci」を搭載した可搬型の発電所を、必要とされる場所に輸送、海岸線に設置する。
なお、発電所は自走式ではない。


WE社とプロディジー社は2022年に契約を締結、概念設計と規制要件の調査は完了している。
調査の一部は、カナダの戦略イノベーション基金からWE社が授与された助成金で実施している。
次のステップは、「eVinci」搭載のための可搬型原子力発電所の設計を完了し、発電所の建造、艤装、輸送といった一連の流れの監督モデルの確立、2030年までにカナダで最初のプロジェクト実現に向けた許認可取得と立地評価の作業であるという。


WE社のeVinciテクノロジー社のJ.ボール社長は、「eVinci」は当初から可搬式が重要な設計原則であり、プロディジー社の可搬型原子力発電所は「eVinci」本来の可搬性に付加価値をもたらすものである、と語る。


プロディジー社のM.トロジャーCEOは、「eVinci」のコンパクト設計と簡素化された運転要件は可搬型原子力発電所への搭載に最適であり、自社の技術で「eVinci」を展開、遠隔地にクリーンで信頼性が高く、手頃な価格の電力を供給するスケジュールを加速させたい、と意欲を示す。


プロディジー社はマイクロ原子炉だけでなく、石炭発電の代替と送電網へ接続規模の発電に最適で洋上設置が可能な、小型モジュール炉(SMR)を搭載する可搬型発電所も開発している。
2022年10月には、米ニュースケール社と共同開発した可搬型発電所の概念設計が発表されている。
ニュースケール社製のSMR「NPM」(7.7万kWe)を1基から12基搭載する。


プロディジー社は、どちらの可搬型発電所も原子炉を搭載後に設置場所まで輸送し、60年後の運転終了時に撤去することで、「施設のライフサイクル全体を簡素化し、追加の建設コストや複雑な作業を大幅に削減する」と期待を寄せている。 

【情報提供:原子力産業新聞】 

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